
ホームページに問い合わせフォームを設置すると、名前やメールアドレス、電話番号が送られてきます。この時点で、会社は他人の個人情報を預かる立場になります。
この記事では、フォームを置いている会社が確認しておきたい点を、掲載する内容と社内での取り扱いに分けて整理します。なお、法令の詳細や個別の判断については、専門家や公的機関の情報をご確認ください。
フォームを置くことで生じること
個人情報を扱う事業者には、その取り扱いについて一定の義務があります。規模の大小にかかわらず、事業として個人情報を扱っていれば対象になります。
問い合わせフォームは、その入り口として一番身近なものです。採用の応募フォーム、資料請求、見積依頼なども同じ扱いになります。
難しく考える必要はありませんが、「何のために集めるか」「どう保管するか」「いつまで持つか」の3点は決めておく必要があります。決めていない状態が、そのまま管理されていない状態につながります。
ホームページに掲載しておく内容
個人情報の取り扱いに関する方針を、ホームページに掲載しておきます。プライバシーポリシー、個人情報保護方針といった名前で置かれているものです。
書いておく内容は、おおむね次のようなものです。
- 集めた情報を何に使うか(利用の目的)
- 本人の同意なく第三者に渡さないこと
- 外部のサービスに管理を委託している場合、その旨
- 情報の訂正や削除を求められたときの連絡先
- アクセス解析などで閲覧の記録を取得している場合、その説明
このうち、利用の目的は具体的に書きます。「お問い合わせへの回答のため」といった形です。集めた目的以外に使うには、あらためて同意が必要になります。問い合わせで受け取ったアドレスを、後から案内の送信に使う場合は、この点を確認しておきます。
掲載場所は、フォームの近くと、ページの下部からたどれる位置の両方にしておくと見つけやすくなります。フォームに同意の確認欄を設けている場合、方針へのリンクをその横に置きます。
集める項目を必要な範囲にとどめる
フォームの項目は、少ないほど管理する情報も減ります。
問い合わせの内容に答えるために必要なのは、多くの場合、名前と連絡先と用件です。住所や生年月日、会社の規模といった項目は、本当に必要かを確認します。使わない情報を集めると、保管の対象が増えるだけになります。
必須の項目と、任意の項目を分けておくことも有効です。入力する側の負担が減り、送信までたどり着く人も増えます。
受け取ったあとの保管
送られてきた内容は、多くの場合メールで届きます。このメールがどこに保管されているかを確認します。
確認しておきたいのは次の点です。
- 誰のメールボックスに届いているか
- 個人の端末に保管されたままになっていないか
- フォームの管理画面にも記録が残っている場合、そこに入れる人は誰か
- 表計算のファイルに書き出して共有していないか
とくに、書き出したファイルの扱いには注意が必要です。共有フォルダに置いたまま、誰でも見られる状態になっているケースがあります。閲覧できる人の範囲を決めておきます。
いつまで保管するかを決める
使い終わった情報を持ち続けると、保管する責任だけが残ります。
問い合わせへの対応が終わったもの、採用の選考が終了したものについて、いつまで残すかを決めておきます。期間を決めておけば、そのタイミングで整理できます。
採用の応募で受け取った情報は、選考が終わった時点で不要になるものと、次回の募集に備えて残すものに分かれます。残す場合は、その旨を応募の受付時に伝えておく必要があります。
外部のサービスを使っている場合
フォームの仕組みを外部のサービスで用意している場合、送信された内容はそのサービス側にも保管されます。この場合、情報の取り扱いを外部に委託していることになります。
掲載する方針の中に、委託している旨を書いておきます。あわせて、そのサービスがどこの国で運営されているかも確認しておくと、説明が必要になったときに答えられます。海外の事業者が提供するサービスの場合、取り扱いに関する記載が別に必要になることがあります。
また、フォームのあるページが暗号化された通信になっているかも確認します。ブラウザのアドレス欄で、警告が表示されていないかを見れば判断できます。入力した内容がそのまま送られる状態は避けておきたい部分です。
担当者が変わるときに困らないように
問い合わせの受信を一人の担当者に任せていると、その人が退職したときに情報の所在がわからなくなります。個人のメールボックスにだけ残っている状態は避けたいところです。
複数人が確認できるアドレスで受け取り、保管する場所を社内で共有しておきます。この形にしておけば、担当が変わっても引き継ぎができます。
外部のサービスを使ってフォームを動かしている場合は、そのサービスの契約情報とログインの管理も同じように確認しておきます。
まず確認する2つのこと
すべてを一度に整えるのは大変です。まずは次の2点を確認するところから始められます。
一つは、個人情報の取り扱いに関する方針がホームページに掲載されているかどうか。もう一つは、フォームから送られてきた内容が、いま誰のところに届いているかです。
この2つがはっきりすれば、次に手を付ける場所も見えてきます。掲載内容の見直しや、保管期間の取り決めは、そのあとで順に進めていけば間に合います。