
会社としてSNSを始めるとき、多くの場合はアカウントを作るところから話が進みます。ただ、投稿してよい内容の範囲や、アカウントを誰が管理するかを決めないまま運用に入ると、後から手を入れにくくなります。
この記事では、担当者に任せる前に社内で決めておきたい項目を整理します。運用の技術的な話ではなく、体制と取り決めの話です。
ルールがないと、判断が担当者に集まります
SNSの投稿は、書いてから公開までが短い作業です。相談する時間がないまま、担当者が一人で判断する場面が続きます。
判断の基準がなければ、担当者は迷います。迷った結果、当たり障りのない投稿しかできなくなるか、逆に踏み込みすぎて後で問題になるか、どちらかに寄りがちです。
先に基準を決めておくのは、担当者を縛るためではありません。迷う場面を減らして、動きやすくするためのものだと考えると、決めるべき内容も見えてきます。
投稿してよい内容の範囲を決める
まず決めておきたいのが、何を投稿してよいかです。細かく列挙するより、判断に迷いやすい部分に絞って決めるほうが実用的です。
- 取引先や案件の情報を、どこまで出してよいか
- 商品やサービスの価格に触れてよいか
- 社会的な出来事や時事の話題に触れるかどうか
- 社内の様子を撮った写真を出す場合の基準
このうち、取引先に関する情報は明確にしておく必要があります。納品したものや訪問先を投稿するには、相手の許可が必要です。「実績として公開してよいか」を事前に確認する手順まで含めて決めておきます。
時事の話題については、触れないと決めておく会社が多いようです。反応が読みにくく、社としての立場を求められる場面が生まれるためです。
写真に写る人への配慮
社内の様子や催しの写真を投稿する場面は多くあります。ここで確認しておきたいのが、写っている人の同意です。
社員については、入社時や運用開始時にまとめて確認しておく方法があります。ただし、包括的な同意を取っていても、投稿のたびに本人が嫌がる可能性は残ります。「掲載してほしくない場合は申し出てほしい」という窓口を用意しておくと、後の対応が楽になります。
社外の方が写り込んでいる場合は、その都度の確認が必要です。判断がつかない場合は、その写真を使わないという選択が確実です。
退職した社員の写真をいつまで残すかも、決めておきたい項目です。投稿は過去のものも残り続けるため、削除の依頼を受けたときの手順を用意しておきます。
アカウントの管理を個人に依存させない
運用でつまずきやすいのが、アカウントの管理です。担当者が自分のメールアドレスと個人の端末だけで運用していると、その人が離れたときにアカウントに入れなくなります。
最低限、次の点を決めておきます。
- アカウントに登録するメールアドレスは、複数人が確認できるものにする
- ログインの情報は、社内の規定に沿った方法で保管する
- 管理できる人を2人以上にしておく
- 二段階の認証を設定する場合、受け取り先を個人の端末だけにしない
二段階の認証は、不正なログインを防ぐために設定しておきたい仕組みです。ただ、受け取り先が退職者の携帯電話だけになっていると、こちらが締め出されます。設定するときに、受け取り先も含めて決めておきます。
投稿の前に、誰かが見る手順を入れるか
投稿の前に別の人が確認する手順を入れるかどうかは、判断が分かれる部分です。
確認を必須にすると、投稿までの時間がかかります。担当者が投稿をためらうようになり、更新が減る場合もあります。一方で確認がないと、誤字や事実の誤りがそのまま公開されます。
現実的なのは、内容によって分ける方法です。事業内容や価格に関わる投稿は確認を通し、日常の様子を伝える投稿は担当者の判断で出す。この線引きにしておくと、速さと確実さの両方を保ちやすくなります。
投稿は削除しても、その前に見た人の記録は残ります。公開してから消せばよい、とは考えないほうが安全です。
返信とコメントへの向き合い方
投稿に対して、質問や意見が届きます。これにどう対応するかを決めていないと、担当者が個別に判断することになります。
決めておきたいのは、返信する範囲です。商品に関する質問には答える、意見や批判には反応しない、といった線引きです。すべてに返信する必要はありません。
否定的な内容が届いた場合の手順も、事前に決めておきます。その場で反論せず、まず社内に共有する。この一手順があるだけで、感情的なやり取りに発展する事態を避けられます。誰に共有するかまで決めておくと、担当者が抱え込まずに済みます。
続けられる頻度にしておく
毎日投稿すると決めて始めると、多くの場合は続きません。止まったまま放置されたアカウントは、更新されていないホームページと同じ印象を与えます。
月に数回でも、続いている状態のほうが安定します。投稿する内容がないときに無理に出す必要もありません。事業に動きがあったとき、伝えることができたときに投稿する、という運用でも役割は果たせます。
決めた内容は短くまとめておく
ここまでの内容を、紙一枚か、共有できる文書一つにまとめておきます。分量が多いと読まれないため、判断に迷う部分だけを書くくらいがちょうどよい形です。
担当者が変わったときは、この文書がそのまま引き継ぎの資料になります。まずは投稿してよい範囲と、アカウントの管理方法。この2つから書き出してみてください。