会社の「顔」になる情報を整理する — 開業前に決めておきたいWeb周りの準備

開業の準備というと、登記や資金、取引先への挨拶などが中心になりますが、その裏で決まっていくものに「会社の顔になる情報」があります。社名の書き方、メールアドレス、ホームページのアドレスといったものです。

これらは一度使い始めると、名刺・封筒・請求書・各種の登録などに広がっていくため、あとから変えようとすると想像以上に手間がかかります。開業前の段階で整理しておきたい項目を、順に見ていきます。

1. 社名・屋号の表記を一つに決める

意外と揺れやすいのが、社名の書き方です。

  • 「株式会社〇〇」と「(株)〇〇」
  • アルファベットの大文字・小文字(例:ABC と Abc)
  • 全角と半角の使い分け
  • 「・」や「&」などの記号を入れるかどうか
  • ふりがな(読み方)

こうした表記が資料ごとに違っていると、検索で自社を探された際に見つけにくくなることがあります。また、取引先が登録や振込の際に迷う原因にもなります。

正式な表記と、日常的に使う略称の二つを決めて、社内で共有しておくと安全です。読み方が分かれやすい社名の場合は、ふりがなもあわせて決めておきます。

2. 独自ドメインを早めに確保する

独自ドメインとは、example.co.jp のような、インターネット上の住所にあたるものです。ホームページのアドレスにもメールアドレスにも使われます。

年間で数千円程度から取得でき、使いたい文字列は先に取得した人が使える仕組みです。そのため、社名が固まった時点で押さえておくと安心です。ホームページを作るのが先でも後でも、ドメインだけを先に取得しておくことができます。

末尾の部分(.co.jp .com .jp など)にはいくつか種類があります。.co.jp は日本国内で登記された法人が一社につき一つだけ登録できるもので、法人であることが分かりやすい形です。それ以外は個人でも取得でき、選択肢が広い代わりに希望の文字列が残っていないこともあります。

文字列そのものは、短く、口頭で伝えやすいものが扱いやすくなります。名刺を見ずに電話で伝える場面や、聞き取ってもらう場面を想像して選ぶと判断しやすいです。

3. メールアドレスの形を決める

独自ドメインを取得すると、info@自社のドメイン のような形のメールアドレスが使えるようになります。無料のメールサービスをそのまま使うより、事業として運営していることが伝わりやすくなります。

あわせて決めておきたいのが、アドレスの付け方の決まりです。

  • 全社共通の窓口(info@ など)を用意するか
  • 個人のアドレスは、名字にするか、名前と名字をつなげるか
  • 担当者が増えたときにどう追加するか

最初の一人か二人のうちは何でも回りますが、人数が増えてから統一し直すのは手間がかかります。簡単な決まりだけ先に作っておくと、後が楽になります。

4. ロゴと基本の色を用意する

ロゴは、名刺、ホームページ、封筒、書類など、あらゆる場所で使われます。作る際は、次の点をあわせて確認しておくと使い回しがきくようになります。

  • 拡大しても粗くならない形式のデータがあるか
  • 背景が濃い色のときに使える、白抜きの形があるか
  • 横長・正方形など、複数の並びが用意されているか
  • 最小の表示サイズや、余白の取り方の目安

また、ロゴの色をもとに、基本となる色を一つか二つ決めておくと、資料やホームページ全体の印象がそろいます。

5. 会社概要に載せる情報をそろえる

ホームページの会社概要に載せる情報は、取引先が確認する場面が多い部分です。次のような項目を、開業前にまとめておくとスムーズです。

  • 正式な社名と、設立(開業)の年月
  • 所在地、電話番号
  • 代表者名
  • 事業内容(何をしている会社かが一文で分かる説明)
  • 資本金、従業員数(掲載するかは任意)
  • 対応できる地域や範囲

自宅を仕事場としている場合、所在地や電話番号をどこまで載せるかは判断が必要です。取引の性質によっては、住所の記載が求められることもあります。掲載する範囲を先に決めておくと、後から迷わずに済みます。

6. 写真をまとめて用意しておく

見落とされがちですが、写真は後から集めるのが大変な材料です。事務所の外観・内観、仕事の様子、取り扱っている物や道具、代表者の顔写真などを、時間のあるうちに撮っておくと、ホームページや資料を作る段階で困りません。

明るい時間帯に、少し引いた構図と寄った構図の両方を撮っておくと、使える場面が広がります。

7. 各所に載せる情報の書き方をそろえる

事業を始めると、社名や住所を登録する場面が次々に出てきます。地図サービスへの掲載、SNSのアカウント、業界の名簿、取引先の管理システムなどです。

このとき、住所や電話番号の書き方が場所によって違っていると、同じ会社だと認識されにくくなることがあります。たとえば次のような違いです。

  • 「1-2-3」と「一丁目2番3号」
  • ビル名や階数を書くかどうか
  • 電話番号のハイフンの有無

一度、正式な表記を一行にまとめてメモしておき、登録のたびにそこから写す形にすると、揺れを防げます。ホームページの会社概要と同じ書き方にそろえておくのが基本です。

まとめ

社名の表記、独自ドメイン、メールアドレス、ロゴ、会社概要の記載内容、写真。いずれも派手な準備ではありませんが、後から変えようとすると影響範囲が広い項目です。

すべてを完璧に整える必要はありません。「一度決めたら長く使うもの」から順に手をつけておくと、開業後の慌ただしい時期に落ち着いて対応できるようになります。

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