
ホームページにも、環境への負荷があります
環境への配慮というと、紙の使用量を減らす、包装を見直す、電力の使い方を改める、といった取り組みを思い浮かべる方が多いと思います。ホームページと環境問題が結びつく場面は、あまり想像されないかもしれません。
しかし、ホームページを表示するときにも電力は使われています。データを保管しているサーバー、そこから情報を届けるための通信設備、そして閲覧している方のパソコンやスマートフォン。この一連の流れのすべてで電力が消費されています。
1回の閲覧で使われる電力はごくわずかです。ただし、それが世界中で膨大な回数繰り返されているため、全体では無視できない規模になります。デジタル分野が排出する温室効果ガスは、航空業界と同程度の規模だと指摘されることもあります。
エコデザインとは
エコデザインとは、ものやサービスをつくる段階から環境への影響を考慮する設計の考え方です。ホームページの分野では、表示に必要なデータ量や処理を抑え、消費される電力を少なくする工夫を指します。
これは SDGs(持続可能な開発目標)の考え方とも重なります。SDGs は国際的に合意された17の目標で、その中には気候変動への対応やエネルギーの効率的な利用が含まれています。ホームページの見直しは、そうした目標に対して自社ができる、小さいながらも具体的な取り組みのひとつと言えます。
具体的にできること
専門的な作業ばかりではなく、担当者の方が判断できる範囲でも取り組めることがあります。
画像を見直す
ホームページのデータ量のうち、大きな割合を占めるのが画像です。撮影したままの大きな写真をそのまま掲載していると、表示するために必要以上のデータが送られることになります。
掲載サイズに合わせて縮小する、圧縮率を調整する、データ量の少ない形式で保存する。こうした調整を行うだけで、見た目をほとんど変えずにデータ量を減らせることが少なくありません。
動画の扱いを考える
動画は画像よりもさらにデータ量が大きくなります。ページを開いた瞬間に自動で再生される設定になっている場合、見ない方にも同じだけのデータが送られます。閲覧者が再生ボタンを押したときに読み込む設定にしておくと、無駄を減らせます。
文字の書体を絞る
ホームページで独自の書体を使う場合、その書体のデータも一緒に読み込まれます。日本語の書体は文字数が多い分データ量も大きくなりますので、使う書体や太さの種類を必要な範囲にとどめると効果があります。
掲載内容を整理する
長く運用しているホームページには、役目を終えたページが残っていることがあります。掲載内容を定期的に見直し、必要なものだけを残していくことは、環境の面でも、閲覧する方の探しやすさの面でも意味があります。
サーバーの選び方
ホームページを置くサーバーの中には、再生可能エネルギーの利用や省電力への取り組みを公表している事業者もあります。契約や更新のタイミングで、そうした情報を判断材料に加えてみるのもひとつの方法です。
環境への配慮は、見る人の使いやすさにもつながります
ここまで挙げた取り組みには、共通する効果があります。データ量が減ると、ホームページの表示が速くなるという点です。
表示に時間がかかるホームページは、読み込みを待たずに離れてしまう方が増えます。特に、電波状況が安定しない場所でスマートフォンから閲覧している場合、その差は大きくなります。表示が速くなれば、内容を読んでもらえる機会が増え、閲覧する方の通信量や電池の消費も抑えられます。
つまり、環境への配慮のために行う見直しは、そのままホームページの使いやすさの改善にもなります。どちらか一方を選ぶ関係ではなく、同じ方向を向いた取り組みだと考えられます。
負荷を測る方法
現状を把握するための道具も公開されています。ホームページのアドレスを入力すると、1回の閲覧あたりの二酸化炭素排出量の目安を表示してくれる「Website Carbon Calculator」といったサービスがあります。
こうした数値はあくまで推計であり、厳密なものではありません。それでも、改善の前後で比べてみると、取り組みの効果が目に見える形になります。社内で共有する際の材料としても役立ちます。
まとめ
ホームページの表示にも電力が使われており、そこには環境への負荷があります。エコデザインは、その負荷をできるだけ小さくしようという設計の考え方です。
画像の見直し、動画の扱い、書体の絞り込み、掲載内容の整理。どれも特別な技術を必要とするものばかりではなく、日々の運用の中で少しずつ進められます。そしてその多くは、表示速度の改善という形で、閲覧する方にとっての使いやすさにもつながっていきます。
環境への取り組みを対外的に発信されている企業であれば、ホームページ自体を見直すことは、その姿勢を実際の形で示すことにもなります。次にホームページを更新する機会に、こうした視点を加えてみてはいかがでしょうか。