
ホームページに載せる動画や、SNS向けの短い映像を自社でつくってみたい。そう考えたときに最初にぶつかるのが、「編集ソフトは何を使えばよいのか」という問題です。
代表的なものとして、Premiere Pro、Final Cut Pro、DaVinci Resolveの3つが挙げられます。筆者は20年ほどPremiere Proを使い続けていますが、それは「これが一番優れているから」というより、仕事の進め方に合っていたからです。それぞれの性格を整理してみます。
3つのソフトの性格
Premiere Pro(Adobe) 1990年代から続く歴史のあるソフトで、映像制作の現場で広く使われています。最大の特徴は、同じ会社が提供する他のソフトとのつながりです。文字や図形の動きをつけるソフト、音声を整えるソフト、画像を扱うソフトなどと素材を行き来させながら作業できるため、「編集の中心地」として機能します。制作会社やフリーランスとやり取りする際の共通言語になりやすい、という実務上の利点もあります。
料金は月額のサブスクリプション(定額制)で、使っている間は費用が発生し続けます。
Final Cut Pro(Apple) Mac専用のソフトです。動作の軽さに定評があり、同じMacで比べたときに書き出しが速い場面が多くあります。買い切り型での購入が基本ですが、2026年からは他のApple製アプリとまとめて使えるサブスクリプション形式も選べるようになりました。
Windowsでは使えないため、社内のパソコン環境によっては選択肢から外れます。
DaVinci Resolve(Blackmagic Design) もともとは色の調整(カラーグレーディング)を専門とするソフトでしたが、現在は素材管理から編集、合成、音声、書き出しまでを1本でこなせるソフトに成長しました。Windows・Mac・Linuxのいずれでも動きます。
特筆すべきは、無料版が用意されており、しかもその無料版でも一般的な業務用途には十分な機能が使える点です。有料版(Studio)は買い切りで、購入後の更新に追加費用がかかりません。
費用の考え方
3つは料金の考え方がそれぞれ異なります。
- Premiere Pro:定額制。使い続ける限り費用が発生する
- Final Cut Pro:買い切りが基本。サブスクリプションも選べる
- DaVinci Resolve:無料版あり。有料版は買い切り
年に数本しか編集しないのであれば定額制は割高になりますし、逆に毎日のように使い、他の制作ソフトも併用するなら定額制のほうが結果的に安く収まります。「どれくらいの頻度で使うか」から逆算するのが現実的です。
なお料金体系は改定されることがあるため、実際の金額は各社の公式サイトでご確認ください。
外注する場合に知っておきたいこと
ここが見落とされがちなのですが、編集途中のデータ(プロジェクトファイル)は、ソフト間でそのまま受け渡しできません。Premiere Proで組み立てた編集内容を、別のソフトでそのまま開いて続きから作業する、ということは基本的にできないのです。
つまり、制作会社に依頼して動画をつくった場合、後日の修正はそのソフトを使える相手に頼むことになります。長く付き合う前提で発注するなら、契約時に次の点を確認しておくと安心です。
- 撮影素材(元データ)を納品してもらえるか
- 修正対応をどこまで、いつまで受けられるか
- 完成した動画のデータ形式と、書き出しの解像度
ソフト以上に効いてくるパソコンの性能
見落とされがちですが、編集作業の快適さはソフトそのものよりパソコンの性能に左右されます。どれだけ優れたソフトを入れても、機材が追いつかなければ、映像の再生がカクついたり、書き出しに何時間もかかったりします。
特に影響が大きいのは、映像処理を担う部品(GPU)と、作業用のメモリ、そして素材を置くための保存領域です。スマートフォンで撮影した動画も高画質化が進んでおり、数分の映像でも数ギガバイトになります。素材が増えると保存容量はすぐに埋まりますので、外付けの記録装置もあわせて考えておく必要があります。
「ソフトの操作は覚えたが、動作が重くて作業が進まない」というのは、自社編集でつまずきやすい典型的なパターンです。ソフトを選ぶ前に、手元のパソコンで扱えるかどうかを確かめておくことをおすすめします。
自社で編集するなら
はじめて自社で編集に取り組むなら、無料版のDaVinci Resolveから試してみる方法が始めやすいかと思います。費用をかけずに操作感を確かめられますし、必要になれば有料版へ移行できます。
一方で、外部の制作者とデータをやり取りする機会が多い、あるいは画像編集ソフトも併用したいという場合は、Premiere Proを選んでおくと連携で困る場面が少なくなります。Macだけで作業が完結し、とにかく軽快に動かしたいならFinal Cut Proという選び方になります。
まとめ
動画編集ソフトは、性能の優劣で選ぶものではなく、「使う環境」「使う頻度」「誰とデータをやり取りするか」で決まります。どれも体験版や無料版が用意されていますので、まずは短い動画を1本つくってみて、操作感が自分に合うかどうかを確かめてみてください。