
「生成AIが便利だとは聞くけれど、自分の会社の何に使えるのかがわからない」というお声をよくいただきます。ツールとしては触れるけれど、日々の業務のどこに当てはめればよいかが見えない、という状態です。
そこでこの記事では、生成AIの活用方法を、中小企業の実際の業務に沿って整理します。
生成AIができることは、大きく4つに分けられます
ChatGPT や Claude、Gemini といった生成AIは、指示を文章で伝えると、それに応じた文章や表を返してくれる仕組みです。できることを大まかに分けると、次の4つになります。
- 書く:メールや案内文、説明文などの下書きを作る
- まとめる:長い文章や議事録から要点を抜き出す
- 整える:箇条書きを文章にする、文章を短くする、表に直す
- 考える:企画のアイデアを複数出す、切り口を挙げる
いずれも「ゼロから完成品を作ってもらう」のではなく、たたき台を素早く用意してもらうという使い方が中心になります。
事務作業での使いどころ
まず取り入れやすいのが、社内で完結する事務作業です。
メールや文書の下書きでは、伝えたい内容を箇条書きで渡し、文面に整えてもらいます。断りの連絡やお詫びなど、言い回しに悩みがちな場面ほど時間短縮につながります。
議事録や資料の要約では、会議のメモを渡して要点と決定事項を抜き出してもらいます。共有用の短い報告文を作るときにも役立ちます。
表やリストの整理では、バラバラの形式で集まった情報を、決まった項目に整理し直してもらえます。取引先リストの表記をそろえる、といった地味な作業に向いています。
情報発信での使いどころ
ホームページやお知らせの文章づくりでも活用できます。
たとえば新しいサービスを案内する際、伝えたい特徴を3つほど挙げて渡すと、案内文の候補をいくつか作ってくれます。自分ひとりで考えていると1案しか浮かばないところを、複数の切り口から比べられるのが利点です。
また、専門的な内容を「お客様向けにわかりやすく言い換える」用途にも向いています。社内では当たり前の言葉が、読み手には伝わっていないことは少なくありません。
ホームページの運用での使いどころ
ホームページを持っている会社であれば、更新作業でも活用できます。
お知らせ文の作成では、伝えたい事実を箇条書きで渡せば、掲載用の文章に整えてもらえます。年末年始の営業案内のように毎年出す文章は、前年の文面を渡して日付だけ差し替えてもらう使い方も便利です。
よくある質問の整理にも向いています。これまでお客様から受けた質問をまとめて渡すと、質問と回答の形に整理してくれます。ホームページに掲載するFAQのたたき台として使えます。
問い合わせフォームの項目づくりでも役立ちます。「どんな情報を先にいただければ話が早いか」を相談すると、抜けていた項目に気づけることがあります。
生成AIが苦手な作業
一方で、任せない方がよい作業もあります。
正確さが求められる数値の計算や集計は苦手です。もっともらしい数字を返してくることがあるため、金額や日程は必ず元の資料で確認してください。
最新の事実の確認も同様です。法改正や制度の内容など、間違いが許されない情報は、公式の発表を直接確認するのが確実です。
最終的な判断も人が行うべき部分です。生成AIは選択肢を並べることは得意ですが、自社の事情を踏まえて決めることはできません。
費用はどのくらいかかるのか
多くのサービスには無料で使える範囲があります。まず試してみる段階であれば、費用をかけずに始められます。
有料プランは、ChatGPT や Claude、Gemini のいずれも個人向けで月額20ドル前後が目安です。無料版との主な違いは、より新しい高性能なモデルが使える点と、利用できる回数が多い点です。文章づくりを日常的に行うのであれば、有料プランの方が快適に使えます。
法人向けのプランでは、入力した内容を学習に使わない設定や、社員ごとの利用管理といった機能が加わります。顧客情報を扱う可能性がある場合は、こちらを検討する価値があります。
いずれも、システムを新しく導入する場合と比べれば少ない負担で始められます。
小さく試して、社内に広げていく
導入を考える際は、いきなり全社で使い始めるのではなく、次の順序をおすすめします。
- 担当者ひとりが、自分の定型業務で1か月ほど試す
- うまくいった使い方を、具体的な指示文とセットで社内に共有する
- 情報の取り扱いルールを決めたうえで、使う人を増やす
うまくいった事例を「どう指示したか」まで含めて残しておくと、他の社員がそのまま真似できます。これが社内に定着させる一番の近道です。
まとめ
生成AIの活用方法は、「下書きを作る」「要点をまとめる」「形式を整える」といった、時間はかかるが判断を必要としない作業から始めるのが取り入れやすい形です。まずは身近な一つの業務から試してみてください。