
ホームページの安全性は、公開後の運用だけで決まるものではありません。どのサーバーを使い、どのCMSで作り、どんなプラグインを組み込むか。制作時のこうした選択が、その後の守りやすさを大きく左右します。この記事では、ホームページ制作でサーバー・CMS・プラグインを選ぶときに、機能や価格とは別に見ておきたい安全面の考え方を解説します。
安全性は「選んだものの組み合わせ」で決まる
ホームページは、いくつもの部品の組み合わせで動いています。土台となるサーバー、その上で動くCMS(ホームページの更新を管理する仕組み)、CMSに機能を追加するプラグイン、見た目を決めるテーマ。どれか一つに弱点があれば、そこが入り口になります。
注意したいのは、部品が多いほど管理する対象も増えることです。便利そうな機能を次々に足していくと、それぞれの更新状況を追う手間が増えていきます。制作時の選び方は、公開後の管理の手間を決める作業でもあります。
サーバー選びで見ておきたい点
サーバーは、ホームページのデータを置いて公開するためのコンピューターです。多くの中小企業では、レンタルサーバーと呼ばれる貸し出しサービスを使います。料金や容量に目が行きがちですが、安全面では次の点を確認します。
- プログラムのバージョンを新しく保てるか:WordPressなどはPHPというプログラム言語で動いています。サーバー側で新しいバージョンを選べないと、CMSの更新にも制約が出ます。
- 不正なアクセスを防ぐ仕組みがあるか:WAF(ウェブアプリケーションファイアウォール。怪しい通信を自動で遮断する仕組み)を使えるかどうかです。
- 自動バックアップがあるか:取得の頻度と、何日分残るか、自分で戻せるかを見ておきます。
- 問題が起きたときの連絡と対応:不審なアクセスや障害があったときに通知が届くか、問い合わせ窓口がどうなっているかです。
料金の安さだけで選ぶと、これらの機能が別料金だったり、そもそも用意されていなかったりすることがあります。比較するときは、同じ条件がそろっているかを確認してから金額を見るほうが判断を誤りにくくなります。
CMSは「広く使われている」ことの両面を知る
CMSの代表例であるWordPressは、世界中で非常に多く使われています。利用者が多いことには、安全面で二つの側面があります。
一つは、狙われやすいことです。多くのホームページで同じ仕組みが動いているため、弱点が見つかると、それを狙った攻撃が広く行われます。
もう一つは、対応が早いことです。利用者と開発者が多いため、弱点が見つかると比較的早く修正版が出ます。困ったときに参照できる情報も豊富です。
結局のところ、利用者の多さそのものより、更新を続けられる体制があるかどうかが安全性を左右します。独自に開発されたCMSを使う場合も同じで、弱点への対応を誰が、いつまで行うのかを確認しておく必要があります。開発元の対応が終わってしまうと、更新が止まったまま使い続けることになるためです。
プラグインは数より中身で選ぶ
プラグインは、問い合わせフォームや予約、画像の表示方法など、CMSに機能を追加する部品です。手軽に機能を足せる反面、弱点が見つかりやすいのもこの部分です。選ぶときは次の点を確認します。
- 最後に更新された時期が新しいか(長期間更新されていないものは避ける)
- 現在のCMSのバージョンに対応しているか
- 利用者がある程度多く、評価や情報が確認できるか
- 同じような機能のプラグインを重ねて入れていないか
有料のプラグインには、ライセンスの期限があるものもあります。期限が切れると、使い続けることはできても修正版が届かなくなる場合があります。制作時にライセンスの名義と期限を記録しておき、更新の担当を決めておくと安心です。
テーマは更新を続けられる形で使う
テーマは、ホームページの見た目やレイアウトを決める部品です。テーマにも更新があり、弱点の修正が含まれることがあります。
問題になりやすいのは、テーマを直接書き換えて独自の見た目を作っている場合です。テーマを更新すると書き換えた部分が消えてしまうため、更新できないまま放置されがちです。子テーマ(元のテーマを残したまま、変更点だけを別に持たせる仕組み)を使うなど、更新を前提にした作り方になっているかを確認しておきます。
向かない選び方
反対に、安全面から見て避けたい選び方もあります。
- 料金の安さだけでサーバーを決める
- 「あると便利そう」という理由でプラグインを増やす
- 更新が止まっているテーマやプラグインを、見た目や機能が気に入ったという理由で使う
どれも制作時には問題が見えにくく、公開から時間がたってから影響が出てきます。
選んだものを一覧にしておく
サーバー、CMS、プラグイン、テーマ。制作時に何を選んだのかを一覧にして手元に残しておくと、公開後の管理がしやすくなります。名前とバージョン、有料のものは契約の名義と期限を書いておく程度で十分です。
これからホームページ制作を依頼するなら、提案を受けた段階で「使う予定のサーバーとプラグインを一覧でもらえますか」と聞いてみてください。その一覧が、公開後に安全性を保つための管理台帳になります。