
新しく業務システムを用意するとき、多くの場合、社内には既に何らかの仕組みが動いています。会計ソフト、勤怠管理、在庫管理、顧客の一覧表。これらと新しいシステムをつなげられれば、同じ情報を二度入力する手間がなくなります。
この「つなげる」ことを連携と呼びます。ただ、どんな相手とでもつなげられるわけではありません。この記事では、連携の方法と、検討段階で確認しておきたい点を整理します。
連携でできると何が変わるか
連携がうまくいくと、次のような状態を目指せます。
- 受注のシステムに入力した内容が、請求のデータにも反映される
- 顧客の情報を一か所で管理し、複数の画面から参照できる
- 集計結果を毎朝自動で取り出し、決まった形にまとめる
共通しているのは、人が転記していた部分をなくすことです。転記は時間がかかるだけでなく、写し間違いが起きる原因にもなります。連携でもっとも効果が出やすいのは、この部分です。
連携の三つの形
つなげ方には、いくつかの段階があります。
1. 自動でつながる形
もっとも手間が少ない形です。片方のシステムに入力すると、その情報がもう一方にも自動で反映されます。
これが可能なのは、相手のサービスが外部とやり取りするための窓口を用意している場合です。この窓口はAPIと呼ばれ、「外部の仕組みから決められた手順で情報を出し入れできる入口」と考えるとわかりやすいと思います。
多くのサービスが、こうした窓口を公開しています。ただし、公開されていても使える範囲が限られていることがあります。読み取りだけができて書き込みはできない、扱える項目が一部だけ、といった制限です。
2. ファイルの受け渡しで補う形
自動でのやり取りができない場合、CSVと呼ばれる形式のファイルを介してつなげる方法があります。片方から情報を書き出し、それを別の仕組みに取り込む形です。
書き出しと取り込みの操作は人が行うため、完全な自動化ではありません。それでも、一件ずつ手で入力するよりは大幅に手間が減ります。一日一回、月に一回といった頻度で足りる業務であれば、この形で十分な場合も多くあります。
なお、書き出したファイルの項目の並びが、取り込む側の想定と違うことがあります。その場合は、並び替えの処理を用意しておくことになります。
3. つなげられない場合
相手側が外部との連携を想定していない作りだと、自動でのやり取りもファイルの書き出しもできないことがあります。社内で長く使っている古い仕組みでは、こうした状況が起こりえます。
この場合、選択肢は限られます。人が手作業で入力を続けるか、その仕組み自体の入れ替えを検討するかです。判断のためにも、早い段階で確認しておきたい部分です。
検討段階で確認しておきたいこと
連携を前提に進める場合、次の点を先に確認しておくと、後の手戻りを減らせます。
外部とやり取りする窓口があるか 利用中のサービスの公式な資料に記載があります。名称は「API」「外部連携」「データ連携」など、サービスによって異なります。
どの情報をやり取りできるか 窓口があっても、扱える項目は決まっています。必要な情報が対象に含まれているかを確認します。
追加の費用がかかるか 上位の契約プランでのみ連携が使える、という形になっているサービスもあります。
どの方向に流すか 片方からもう片方へ流すのか、双方向でやり取りするのかによって、必要な作りが変わります。双方向にすると、両方で同じ情報を変更したときにどちらを優先するかを決めておく必要が出てきます。
どのくらいの頻度で反映するか 入力した瞬間に反映する形と、一日一回まとめて反映する形では、作りの複雑さが変わります。業務上、どの程度の遅れまで許容できるかを考えておきます。
つないだ後にも手入れが必要です
連携は、一度作れば放っておけるものではありません。
つなげた相手のサービスは、機能の追加や変更を続けています。その際に、外部とやり取りする窓口の仕様が変わることがあります。多くの場合は事前に告知されますが、気づかずにいると、ある日から情報が流れてこなくなる、ということが起こります。
そのため、連携を組み込む場合は、うまくいかなかったときに気づける仕組みも併せて考えておく必要があります。処理に失敗したら担当者に通知が届く、といった形です。
また、失敗したときにどう復旧するかも決めておきたい点です。手作業で入力し直せる程度の件数なのか、それとも改めて一括で流し直す必要があるのか。この違いによって、備えておく内容が変わります。
全部をつなげようとしない
検討を始めると、あれもこれもつなげたくなりますが、連携する箇所が増えるほど、作りは複雑になります。片方の仕様が変わったときに影響を受ける範囲も広がります。
まずは、転記の手間がもっとも大きい部分をひとつ選んで、そこだけつなげるのが現実的です。効果を確かめてから、次の箇所を検討する形にすると、費用と手間を抑えられます。
まとめ
システムの連携には、自動でやり取りする形、ファイルを介する形、そもそもつなげられない場合の三つがあります。どの形になるかは、既に使っている仕組みの作りによって決まります。
新しいシステムを検討する際は、つなげたい相手の仕組みが外部との連携に対応しているかを、早めに調べておくことをおすすめします。この確認が済んでいると、実現できる範囲と必要な手間が見通しやすくなります。