
業務システムの開発を依頼したあと、完成までにはいくつかの工程を通ります。「依頼したら、あとは待つだけ」と思われることがありますが、実際には依頼する側にも作業が発生します。
この記事では、ブラウザで使う業務システムを想定して、依頼から使い始めるまでの流れと、各段階で依頼側がやることを整理します。
全体の流れ
大まかには、次の順で進みます。
- 打ち合わせ・要件の整理
- 設計
- 開発
- 動作確認(テスト)
- データの移行・初期設定
- 引き渡し・使い始め
規模によりますが、小さめの業務システムでも数か月かかることが一般的です。この期間のうち、依頼側の時間が必要になるのは主に1・4・6の段階です。
1. 打ち合わせ・要件の整理
最初に行うのは、何を作るかを決める話し合いです。現在の業務の手順を聞き取り、どこをシステムに置き換えるかを決めていきます。
このとき依頼側に発生するのは、次のような作業です。
- 現在使っている帳票やファイルの提供
- 業務の手順の説明(できれば現場の担当者が同席)
- 例外的な処理の洗い出し
とくに三つ目が重要です。「基本はこの流れだが、この取引先だけは別」といった例外は、聞かれなければ出てきにくく、後になって発覚すると作り直しにつながります。
この段階では、決めることが多く、判断を求められる場面も続きます。担当者を一人決めて窓口を集約しておくと、社内での確認がスムーズになります。
2. 設計
決まった内容を、実際に作れる形にまとめる工程です。画面の構成や項目の並びが、図や資料の形で提示されます。
ここで依頼側にお願いしたいのは、画面の案をよく見ておくことです。文章の説明では気づかなかった点も、画面の形になると「この項目は入力しづらい」「この順番は実際の作業と違う」といった気づきが出てきます。
設計段階での変更は、比較的少ない手間で対応できます。開発が進んでからの変更は、費用も期間も大きくなりがちです。時間を取るなら、この段階です。
3. 開発
プログラムを書く工程です。期間としてはもっとも長くなりますが、依頼側の作業は少なくなります。
とはいえ、まったく関わらないよりは、途中経過を見せてもらうほうが安心です。一部の画面が動く状態で確認できると、認識のずれを早めに見つけられます。
4. 動作確認(テスト)
できあがったものを、実際に触って確かめる工程です。開発側でも確認は行いますが、業務の中身を知っているのは依頼側です。
ここは依頼側の時間がまとまって必要になる場面です。実際の業務に近いデータを使い、普段の手順どおりに操作してみます。
確認するときは、正しい手順だけでなく、間違った操作も試しておくと安心です。数量に0を入れる、必須の欄を空にして進める、といった動きで意図しない結果にならないかを見ておきます。
見つかった点は、口頭ではなく一覧にして渡すと、対応の漏れが起きにくくなります。
5. データの移行・初期設定
これまで表計算ソフトなどで管理していた情報を、新しいシステムに移す作業です。
依頼側では、移す前のデータを整理しておく必要があります。表記の揺れ(「株式会社○○」と「(株)○○」など)や、重複した行、使われていない項目を、この機会に整理しておくと移行後が扱いやすくなります。
なお、過去の情報をすべて移す必要があるとは限りません。直近の何年分を移すのか、古い情報は参照用に別途保管するのかを決めておくと、作業量を抑えられます。
6. 引き渡し・使い始め
操作の説明を受け、実際の業務で使い始めます。
切り替えの方法は、いくつか選べます。ある日を境にすべて新しいシステムに移す方法と、しばらく従来の方法と並行して動かす方法です。並行させると手間は二重になりますが、問題が起きたときに戻せる安心感があります。
使い始めてしばらくは、細かな調整の依頼が出てきます。契約の中でどこまで対応してもらえるかは、事前に確認しておくとよい部分です。
途中で変更したくなったとき
進めていくうちに、「やはりこの機能も欲しい」という話が出てくることがあります。これ自体は珍しいことではありません。
大切なのは、変更をどの段階で伝えるかです。設計の段階であれば、資料を書き直す手間で済むことが多くなります。開発が進んだ後では、既に作った部分を作り替えることになり、費用も期間も追加になります。
思いついた時点でひとまず伝えておき、実施するかどうかを一緒に判断する、という進め方が現実的です。伝えるのが遅れるほど、選べる対応が狭まっていきます。
また、変更の話が出たときは、口頭だけで済ませず、記録に残しておくことをおすすめします。合意した内容が残っていないと、完成時に「言った・言わない」の食い違いが起きやすくなります。
まとめ
システム開発は、依頼して待っていれば完成するものではなく、各段階で依頼側の関わりが必要になります。とくに時間を確保しておきたいのは、最初の要件整理と、公開前の動作確認です。
社内で進める際は、この二つの時期に担当者の手が空くよう、あらかじめ業務の調整をしておくと進めやすくなります。