
ホームページに載せる写真やイラスト、文章には、それぞれ作った人の権利、つまり著作権があります。「インターネットで見つけた画像だから使ってもいいだろう」という感覚で素材を使うと、思わぬトラブルに発展することがあります。この記事では、素材の著作権に最大の注意をはらうべき理由と、安全に素材を使うためのポイントを解説します。
「ネットで拾った画像」は原則使えない
検索で見つけた画像を保存して自社のホームページに載せる行為は、原則として著作権の侵害にあたります。画像に「転載禁止」と書かれていなくても、著作権は作成された時点で自動的に発生するため、許可なく使ってよい理由にはなりません。
これは写真だけでなく、イラスト、地図、文章、キャラクター、他社のホームページの文面などにも当てはまります。「みんなやっているから」「小さな会社だから見つからない」という考えは通用しません。
無断使用が招く現実的なリスク
著作権侵害が発覚した場合、まず権利者から削除要請や損害賠償の請求が届きます。写真素材の無断使用では、正規の利用料の数倍にあたる金額を請求される事例が実際にあります。1枚の画像で数十万円の支払いに至ったケースも報告されています。
近年は、画像の無断使用を自動で検出する技術を使い、権利者側が組織的に調査しているケースが増えています。「何年も前に載せた画像に、ある日突然請求書が届いた」という事態は、どの会社にも起こり得ます。
金銭的な損失に加えて、会社の信用への影響も無視できません。ホームページは会社の顔です。その顔で他人の権利を侵害していたとなれば、取引先や顧客からの信頼を損なうことになります。
「フリー素材」にも落とし穴がある
無料で使える素材サイトの画像なら安心、と思われがちですが、ここにも注意点があります。
- 商用利用(会社の営業活動での利用)が禁止されている場合がある
- クレジット表記(作者名の記載)が条件になっている場合がある
- 加工や再配布が制限されている場合がある
- 人物写真では、モデルの肖像権に関する制限がある場合がある
「フリー」の意味は素材サイトごとに異なります。利用規約を読まずに使うと、無料素材でも規約違反になることがあるのです。素材を使う前に、その素材の利用条件を必ず確認する習慣をつけましょう。
制作を外注した場合も他人事ではない
ホームページの制作を外部に依頼した場合でも、公開しているのは自社です。制作側が不適切な素材を使っていた場合、請求の矛先が公開者である自社に向かうことがあります。
制作を依頼する際は、使用する素材の出どころと利用許諾(ライセンス)を確認してもらうこと、可能であれば契約書に素材の権利処理に関する取り決めを入れておくことをおすすめします。過去に作ったホームページの素材の出どころが分からない場合は、一度棚卸しをしておくと安心です。
AIで生成した画像にも確認が必要
最近は、生成AI(文章の指示から画像などを作り出す技術)で作った画像をホームページに使うケースも増えています。手軽で便利な一方、ここにも確認すべき点があります。
まず、利用しているAIサービスの規約で、商用利用が認められているかを確認しましょう。サービスやプランによって、生成物の利用条件は異なります。また、既存のキャラクターや特定の作家の作風に酷似した画像を生成して使うと、著作権などの権利を侵害するおそれがあります。実在の人物に似せた画像も、肖像権の観点で避けるべきです。
AI生成だから権利問題と無関係、ということにはなりません。「どのサービスで、どんな条件のもとで生成したか」を記録しておくことは、通常の素材と同じように大切です。
安全に素材を使うための基本
安全に素材を使うための基本は、次の3つです。
- 自社で撮影・作成した素材を使う
- 素材サイトを使う場合は、利用規約と利用条件を確認して記録に残す
- 有料素材は、購入したプランで許される利用範囲を確認する
自社で撮影した写真は権利関係が明確なうえ、会社の実際の雰囲気が伝わるため、集客の面でも効果的です。
あわせて、素材の管理を社内ルールとして決めておくことをおすすめします。「使用した素材の入手元と利用条件を一覧表に記録する」という簡単な運用だけでも、後から確認が必要になったときに大きな助けになります。担当者が変わっても引き継げるよう、記録は個人のメモではなく共有の場所に残しておきましょう。
まとめ
素材の著作権への配慮は、単なるマナーではなく、会社を金銭的リスクと信用の失墜から守るための実務です。「出どころの分からない素材は使わない」「フリー素材でも規約を確認する」という2点を徹底するだけで、リスクの大半は避けられます。まずは今のホームページに、出どころの不明な素材がないかを確認することから始めてみてください。