
「ホームページを作りたいので、見積もりをください」という問い合わせをいただくことがあります。ただ、この一文だけでは金額を出すことができません。ホームページの費用は、内容によって数十万円から数百万円まで開きがあるためです。ここでは、見積もりを依頼する前に決めておきたい5つの項目を挙げます。すべてを完璧に固める必要はなく、方向性が決まっているだけで十分です。
なぜ、決めずに依頼すると困るのか
条件が曖昧なまま見積もりを依頼すると、二つの問題が起こります。
ひとつは、金額が実態とかけ離れることです。前提が分からない状態では、標準的な仕様を仮に置いて計算するしかありません。その結果、実際に必要なものと違う内容の見積もりが届き、話を進めるうちに金額が変わっていきます。
もうひとつは、複数の見積もりを比べられないことです。前提が揃っていなければ、A社は10ページ分、B社は5ページ分の金額を出しているかもしれません。この状態で数字だけを見比べても、判断材料になりません。
条件を先に決めておくのは、相手のためというより、自分たちが比較できる状態を作るためです。
1. 何のために作るのか
最初に決めたいのが目的です。「ホームページがないから」という理由でも構いませんが、そこからもう一歩だけ具体化します。
- 問い合わせや相談を増やしたい
- 取引先や金融機関に会社の内容を確認してもらう場が欲しい
- 求人に応募する人に、会社の様子を見てもらいたい
- 既存のお客様に、最新の情報を届けたい
目的が違えば、必要なページも、力を入れる箇所も変わります。求人が目的なら職場の写真や社員の紹介が要りますし、会社の信用を示すことが目的なら実績や沿革が中心になります。
複数の目的があっても問題ありません。その場合は、一番大事なものを一つ選んでおきます。優先順位が決まっていると、あとで判断に迷ったときの基準になります。
2. どんなページが必要か(大枠でよい)
ページ数は、金額に直接影響する要素です。細かく決める必要はなく、「だいたいこのくらい」という規模感が分かれば十分です。
一般的な会社案内であれば、トップページ、会社概要、サービスや商品の紹介、実績、お知らせ、問い合わせ、といった構成になります。ここにサービスごとの詳細ページが加わると、ページ数が増えていきます。
いま手元にパンフレットや会社案内があるなら、その中身を並べてみるのが早い方法です。「この項目は載せる」「これは不要」と印をつけるだけで、大枠が見えてきます。
3. いつ公開したいか
公開希望日と、その理由まで伝えられると精度が上がります。
会社案内の規模で、契約から公開まで2か月から3か月ほどかかるのが一般的です。展示会や創業記念日など動かせない予定があるなら、そこから逆算して、依頼先を探し始める時期を決めます。
急ぎの事情があるなら隠さず伝えてください。優先順位をつけて先に公開する部分を絞る、といった進め方を提案してもらえる可能性があります。
4. 予算の幅
「予算を言うと、その金額いっぱいの見積もりが来るのでは」と考えて、伝えるのをためらう方がいます。気持ちは分かりますが、伝えたほうが結果的に話が早く進みます。
予算が分かっていれば、その範囲で何ができるかという方向で提案が組み立てられます。逆に予算が分からないと、標準的な内容で見積もりを出すしかなく、それが予算の倍だった場合、また一から作り直しになります。
正確な金額でなくて構いません。「50万円前後」「100万円までなら」といった幅で十分です。あわせて、公開後に毎年かかる費用(ドメイン、サーバー、保守)をどこまで見込んでいるかも伝えておくと、後から想定外の出費が出にくくなります。
5. 公開後、誰が更新するのか
見落とされやすいのがこの項目ですが、仕組みの選び方が変わる重要な点です。
自社でお知らせや実績を更新していきたいなら、更新しやすい仕組みが必要になります。その分、制作費は上がりますが、公開後の依頼費用は抑えられます。一方、更新の予定がほとんどないなら、簡素な作りにして初期費用を抑える選択もあります。
「更新したいが、担当できる人がいない」という場合もあります。それも正直に伝えてください。更新作業を任せる形の運用を含めて検討できます。
社内の誰が担当するかまで決まっていれば理想的です。担当が決まっていないまま更新機能だけを作ると、公開後に一度も更新されないまま止まることになります。
まとめ
目的、ページの大枠、公開時期、予算の幅、更新担当。この5点をメモにまとめておけば、見積もりの精度は大きく変わります。A4一枚に収まる程度で構いません。
そして、複数の依頼先に相談するなら、同じメモを渡してください。前提が揃った見積もりが届き、はじめて比較が意味を持つようになります。