
ホームページ制作を依頼して最初の山場になるのが、デザイン案の確認です。画面を見せられて感想を求められても、何を基準に判断すればよいのか分からず、「いい感じだと思います」で終わってしまうことがあります。ここでは、デザインの専門知識がなくても確認できる観点と、修正を伝えるときの言い方を整理します。
「好きかどうか」だけで判断しない
デザイン案を前にすると、どうしても自分の好みで見てしまいます。それ自体は自然なことですが、判断の軸をそこだけに置くと、あとで困ります。
ホームページを見るのは自分ではなく、お客様や取引先、求職者です。判断するときは「自分が好きか」ではなく、「見てほしい相手が、知りたい情報にたどり着けるか」を先に置きます。この順番を意識するだけで、確認すべき箇所がはっきりしてきます。
もうひとつ、この段階のデザイン案は完成品ではありません。写真は仮のものが入っていることが多く、文章も下書きの状態です。仮の素材に引きずられて全体を評価してしまわないよう、どこが確定でどこが仮なのかを最初に確認しておくと落ち着いて見られます。
確認したい五つの観点
具体的には、次の順で見ていくと抜けが少なくなります。
一番目に伝わる情報が合っているか。 画面を開いて最初に目に入る部分に、何が書かれているか。そこに書かれていることが、その会社の一番の強みや、来訪者が知りたいことと一致しているかを確認します。ここがずれていると、以降をどう整えても効果が出にくくなります。
情報の並び順に納得できるか。 上から順に、読み手が知りたい順番になっているか。社内の都合で並べたくなる部分(設立年月や社長挨拶など)が、読み手にとっての優先順位と食い違っていないかを見ます。
問い合わせや電話番号にたどり着けるか。 連絡先が、探さなくても目に入る場所にあるか。ページを下まで見ないと出てこない構成になっていないかを確認します。
スマートフォンでの見え方。 いまはほとんどの方がスマートフォンで見ます。パソコン用の画面だけで判断せず、スマートフォン用の案も見せてもらってください。文字の大きさ、写真の切れ方、ボタンの押しやすさが変わります。
自分たちで用意できる素材かどうか。 案の中で使われている写真やイラストを、実際に自社の素材で置き換えられるかを考えます。「この構成には店舗の写真が十数枚必要だが、手元に三枚しかない」といったずれは、この段階で気づいておくと安全です。
「なんとなく違う」を言葉にする
修正を伝える段になると、多くの方が「なんとなく違うのだが説明できない」という状態になります。これは珍しいことではありません。うまく伝えるコツは、解決策ではなく、感じたことと理由を渡すことです。
たとえば「もっと青くしてください」と伝えると、色を変える対応で終わります。しかし本当の不満が「硬く見えて、地域のお客様に近寄りがたい印象になりそう」だった場合、色を変えても解決しません。
伝え方を変えると、こうなります。
- 「全体が硬い印象に見えます。近所の方に気軽に相談してほしいので、もう少し親しみのある雰囲気にできませんか」
- 「実績の数字が目立ちすぎて、営業色が強く感じられます。もう少し控えめでも構いません」
- 「上から三つ目の写真が、実際の店舗の雰囲気と違います。夕方の暗い時間帯の写真に差し替えたいです」
具体的な指示ができるなら、それも合わせて伝えて問題ありません。大事なのは、指示だけを渡さず、その背景にある理由を一言添えることです。理由がわかれば、より良い方法を提案してもらえる余地が生まれます。
なお、感じたことをそのまま言うのは失礼だと考える必要はありません。曖昧なまま進めて、公開直前に作り直しになるほうが、双方にとって負担が大きくなります。
社内の意見をどうまとめるか
複数人で確認すると、意見が割れます。ここで起こりがちなのが、集まった意見をそのまま全部渡してしまうことです。相反する要望が同時に届くと、作業は止まります。
現実的なのは、次の進め方です。
まず、窓口を一人に決めます。制作を依頼した先とのやり取りは、その人を通します。次に、社内から集まった意見を「必ず直したいこと」と「できれば直したいこと」に分けます。最後に、意見が食い違っている箇所は、社内で結論を出してから渡します。
このとき、決裁者の確認をどの段階で入れるかも決めておいてください。担当者間で固めた後に上位者からまったく別の方向性が出てくると、工程が戻ります。デザイン案の初回提示の時点で、決裁者にも一度目を通してもらうのが安全です。
回答の期限を自分たちから示しておくのも有効です。「今週金曜までに社内をまとめて返します」と伝えておけば、社内にも締め切りができます。確認待ちで制作が止まる期間は、そのまま公開日の遅れになります。
まとめ
デザイン案の確認は、センスを問われる場面ではありません。見てほしい相手が必要な情報にたどり着けるか、という観点で順に見ていけば、専門知識がなくても十分に判断できます。
言葉にしにくい違和感を覚えたときは、無理に専門用語で伝えようとせず、感じたことと理由をそのまま渡してみてください。そこから具体的な修正案が返ってくるはずです。