
ホームページの更新や運用の話は社内で共有されていても、その土台になっている契約が誰の名義になっているかは、意外と把握されていません。担当者が退職したあとや、更新の連絡が届かなくなったときに、はじめて問題が表に出ます。
この記事では、会社のWeb関連の契約について確認しておきたい項目と、棚卸しの進め方を整理します。
「動いているから大丈夫」で見えなくなるもの
ホームページは、公開されている間は何も問題が起きていないように見えます。そのため、契約の中身を確認する機会がほとんどありません。
ところが実際には、次のような状態になっている会社があります。
- 独自ドメイン(会社のアドレスに使う名前)が、開設を担当した社員の個人名義になっている
- 契約の連絡先が、退職した人のメールアドレスのままになっている
- 支払いが個人のクレジットカードで、その人の異動後に決済が止まった
- 管理画面のパスワードを知っているのが1人しかいない
いずれも、平常時は何も起きません。困るのは、更新の時期が来たときや、担当が変わったときです。
とくにドメインは、期限を過ぎて失効すると、ホームページもメールアドレスも同時に使えなくなります。復旧できる期間には限りがあり、その間に別の人が取得してしまう可能性もあります。影響の大きさに対して、確認の手間は小さい項目です。
確認しておきたい3つの点
契約ごとに、次の3点を確認します。
1. 契約名義 会社名になっているか、個人名になっているかを見ます。個人名義でも運用はできますが、その人が会社を離れたときに、手続きの権限が社内に残りません。
2. 連絡先のメールアドレス 更新の案内や、障害の通知が届く先です。個人のアドレスではなく、複数人が確認できるアドレスにしておくと見落としが減ります。担当者が変わっても引き継ぎやすくなります。
3. 支払い方法 会社の口座やカードになっているかを確認します。個人の立て替えになっていると、その人が不在のときに更新が止まります。
何を棚卸しするか
対象になるのは、ホームページ本体だけではありません。次のようなものが該当します。
- 独自ドメイン
- サーバー(ホームページのデータを置いている場所)
- メールのサービス
- ホームページの管理画面
- アクセス解析のアカウント
- SNSのアカウント
- 予約や問い合わせに使っている外部サービス
- 有料で使っている機能追加のプログラム
一覧にすると、思っていたより数が多いことに気づく場合が多いようです。数年かけて少しずつ増えていくため、全体を見る機会がないまま来ていることが理由です。
洗い出す手がかりになるのが、会社の口座やカードの明細です。毎月または毎年引き落とされている項目をたどると、契約中のサービスがおおむね把握できます。個人の立て替えになっているものは明細に出てこないため、担当者への聞き取りと合わせて確認します。
使っていないサービスが見つかることもあります。担当が変わった後もそのまま契約が続いている、といった状態です。棚卸しの過程で解約できるものが出てくれば、その分の費用も減らせます。
一覧にまとめるときの注意点
まとめる項目は、サービス名、契約先、契約名義、連絡先アドレス、支払い方法、更新時期、社内の担当者。この程度で十分です。
ここで注意したいのが、パスワードの扱いです。一覧表に直接書き込むと、その表自体が持ち出しのリスクになります。パスワードは、社内の規定に沿った保管方法を別に決めるほうが安全です。共有が必要な場合は、パスワード管理の専用サービスを使う方法もあります。
一覧そのものも、誰でも見られる場所には置かないほうがよいでしょう。保管場所と、閲覧できる人の範囲を決めておきます。
名義を変更する場合の進め方
個人名義になっているものを会社名義に変える場合、手続きの方法は契約先によって異なります。管理画面から変更できるものもあれば、書面の提出が必要なものもあります。
いずれの場合も、名義変更には現在の名義人の協力が必要になります。その人が在籍しているうちに手続きを進めておくことが大切です。退職後に連絡が取れなくなってから対応するのは、手間も時間もかかります。
外部に制作や保守を依頼している場合は、契約時の取り決めを確認します。管理を任せている範囲と、名義の所在は別の話です。誰が契約者になっているかを、書面で確かめておくと確実です。
年に一度、見る日を決める
棚卸しは、一度やって終わりにすると、また同じ状態に戻ります。年に一度、日を決めて見直す形にしておくと維持できます。
決算の時期や、期首など、他の確認作業と一緒にできるタイミングに寄せておくと忘れにくくなります。まずは手元にあるドメインとサーバーの契約について、名義と連絡先アドレスを確認するところから始められます。この2つが会社の管理下にあれば、ひとまず大きな問題は避けられます。